妊娠初期に抜け毛が増える原因とは?ホルモン変化と正しい対策法

妊娠初期に抜け毛が増えるのは、ホルモンの急な変化やつわりによる栄養不足が重なって起こる、一時的な反応であることがほとんどです。
抜け毛は出産後に起こるイメージが強いかもしれません。けれども妊娠初期にも髪が抜けやすくなる時期があり、多くは数か月で自然に落ち着いていきます。
大切なのは、心配のいらない一時的な抜け毛と、甲状腺の不調や貧血など別の原因が隠れた抜け毛を、落ち着いて見分けることでしょう。
この記事では、抜け毛が増える原因を医学的にやさしく整理し、今日から無理なく続けられる対策と、医療機関へ相談したほうがよい目安までお伝えします。
妊娠初期に抜け毛が増えるのは一時的な変化です
妊娠初期に抜け毛が増えても、その多くは一時的なもので、出産後の数か月のうちに自然と整っていきます。
髪が永久に薄くなるのではないかと強く不安になる方は少なくありません。まずは全体像をつかんでおくと、必要以上に怖がらずにすみます。
妊娠の時期によって、髪の状態は次のように移り変わっていきます。
| 時期 | 髪の傾向 | 抜け毛の感じ方 |
|---|---|---|
| 妊娠初期 | ホルモンが大きくゆらぐ | 一時的に増えることがある |
| 妊娠中期〜後期 | エストロゲンが高く安定 | むしろ抜けにくく感じやすい |
| 産後2〜3か月 | ホルモンが急に下がる | まとまって抜けやすい |
このように、妊娠初期の増加は通り道のようなもので、ずっと続くわけではありません。
いつごろ落ち着くのかをあらかじめ知っておくと、毎日の抜け毛に一喜一憂せずにすみます。先の見通しが立つだけでも、気持ちはずっと穏やかになるものです。
抜け毛の量は、季節や体調によっても日ごとに揺れます。一日だけの本数で判断せず、数週間の流れでとらえると、変化の意味が見えやすくなります。
1日に抜ける髪はもともと多い
健康な人でも、髪は1日におよそ50本から100本ほど自然に抜けています。これはごく当たり前の生え替わりで、心配のいらない量です。
妊娠初期は体の変化に意識が向きやすく、いつもより抜け毛が気になりやすい時期でもあります。実際の本数以上に多く感じてしまうこともあるでしょう。
ブラシや排水口にたまった毛を見ると、つい数えたくなるものです。けれど一日の総量で考えれば、その多くは自然な生え替わりの範囲に収まっています。
妊娠初期に抜け毛が目立ちやすい時期
妊娠が分かったころから数週間は、ホルモンの値が一気に動くため、髪が休止期に入りやすくなります。その影響が抜け毛として表れることがあります。
とはいえ、目に見えて薄くなるほど抜けることはまれです。分け目や生え際が大きく後退しているときは、別の原因も一度疑ってみましょう。
気になる時期は人それぞれで、つわりの重さや体調によっても前後します。本数を細かく数えるより、髪全体のボリュームの変化をゆるやかに眺めるほうが安心です。
産後の抜け毛との違い
いわゆる「産後の抜け毛」は、出産でエストロゲンが急に減ることがきっかけで起こります。妊娠初期の抜け毛とは、引き金になるホルモンの動きが異なります。
どちらも一時的という点は共通しています。違いを知っておくと、自分の状態がどちらに近いのか整理しやすくなるでしょう。
妊娠初期から産後まで、髪はホルモンの波に寄り添うように移り変わります。今がどの波の途中なのかをつかんでおくと、必要以上に落ち込まずにすみます。
妊娠初期の抜け毛を招くホルモン変化と体の事情
妊娠初期の抜け毛は、急激なホルモン変化に、つわりや睡眠不足といった体の負担が重なって起こると考えられます。
原因はひとつではなく、いくつかの要素が折り重なっている場合がほとんどです。
エストロゲンとプロゲステロンの急な増加
妊娠初期は、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが短い期間で大きく増えていきます。体がこの変化に慣れるまでの間、髪の生え替わりのリズムが乱れがちです。
ホルモンの波が落ち着いてくると、髪のリズムも整っていきます。多くの場合、妊娠中期に入るころには抜け毛が気になりにくくなるでしょう。
ホルモンの増え方には個人差があり、変化を強く感じる方もいれば、ほとんど気づかない方もいます。抜け毛の出方に差が生まれるのも自然なことといえます。
つわりによる食事量の低下と栄養不足
つわりで食事が思うようにとれないと、髪をつくる材料が不足しがちになります。とくに鉄分やたんぱく質が足りないと、髪は細く抜けやすくなります。
つわりの時期に不足しやすい栄養として、次のようなものがあります。
- 鉄分
- たんぱく質
- 亜鉛
- 葉酸
- ビタミンB群
無理に食べる必要はありません。食べられるものを少しずつとり、体調が戻ってきたら栄養を補っていけば十分です。
水分やスープから少しずつ栄養をとるだけでも、体は助かります。食べられた日を責めず、とれた分を前向きに数えていきましょう。
食欲が戻ってきたら、鉄分やたんぱく質を意識して少しずつ取り戻していけば十分です。焦らず、体の声に合わせて進めていきましょう。
睡眠不足と心身の負担
妊娠初期は眠気や体のだるさが強く、睡眠のリズムが乱れやすい時期です。心身の負担が続くと、それ自体が抜け毛の引き金になることもあります。
つわりや体調の波で気分が沈みやすいときもあるでしょう。抜け毛への不安がさらに気持ちを重くする悪循環は、早めにほぐしておきたいところです。
短い昼寝をはさんだり、家事を一つ手放したりするだけでも、体はずいぶん休まります。完璧を目指さず、頼れるところは周りに頼ってよい時期です。
もともとの髪質や生活背景の影響
もともと髪が細い方や、強いダイエットを続けてきた方は、妊娠初期の変化が抜け毛として出やすい傾向があります。妊娠前の生活背景も、髪の状態に関わってきます。
こうした背景があるからといって、髪が戻らなくなるわけではありません。今の体に合わせて整えていけば、髪はちゃんと応えてくれます。
過去の食生活や体重の増減も、今の髪に少なからず影を落とします。とはいえ大切なのは、これからの過ごし方をゆっくり整えていくことでしょう。
妊娠中の髪の成長サイクルとエストロゲンの関係
妊娠中はエストロゲンが髪の成長期を引き延ばすため、抜けるはずだった髪がとどまり、髪全体が豊かに感じられる時期があります。
その反動が出産後にまとまって表れたものが、産後の抜け毛です。
髪が生え替わる3つの時期
髪は「成長期」「退行期」「休止期」という3つの時期をくり返しながら生え替わっています。1本ずつ時期がばらばらなので、いつも同じ毛量を保てるのです。
| 時期 | 髪の状態 | おおよその期間 |
|---|---|---|
| 成長期 | 太く長く伸びていく | 2〜6年ほど |
| 退行期 | 成長が止まり縮む | 2〜3週間ほど |
| 休止期 | 抜ける準備に入る | 数か月ほど |
このうち休止期の割合が一時的に増えると、抜け毛として目立ちます。妊娠初期に起こりやすいのも、まさにこの状態です。
一本ずつが別々のリズムで動いているからこそ、髪はある日いっせいに抜けたりはしません。仕組みを知ると、日々の抜け毛も落ち着いて受け止められます。
休止期にある髪は、全体の1割ほどといわれます。妊娠初期はこの割合が少し増えるだけで、抜け毛が多くなったように感じられるのです。
エストロゲンが成長期を支える働き
エストロゲンには、髪の成長期を保ち、抜けるタイミングを遅らせる働きがあります。妊娠中に髪が抜けにくく感じるのは、この後押しが効いているためです。
研究では、髪そのものが女性ホルモンを受け取る場所を持つことも分かってきました。髪とホルモンは、思っている以上に深くつながっていると言えます。
妊娠中に髪が増えたように感じるのは、抜けるはずだった髪がとどまっているためです。出産後にその分が戻る流れも、知っておくと驚かずにすみます。
ホルモンが減るときに抜け毛が増える理由
妊娠初期はホルモンがまだ安定せず、増えたり戻ったりをくり返します。値が一時的に下がる場面では、休止期に入る髪が増えて抜け毛につながります。
つまり妊娠初期の抜け毛は、ホルモンが整っていく途中の一場面ともいえます。多くは時間とともに穏やかになっていくでしょう。
抜け毛が増えても、髪をつくる力そのものが衰えたわけではありません。体が落ち着けば、髪はまた伸び始めます。
妊娠初期の抜け毛で注意したい別の原因
すべての抜け毛をホルモンのせいと決めつけてしまうと、治療が必要な不調を見過ごすおそれがあります。
妊娠初期の抜け毛の一部には、貧血や甲状腺の不調など、別の原因が隠れていることがあります。
鉄分不足と貧血による抜け毛
妊娠中は赤ちゃんに鉄分を送るため、お母さんは鉄が不足しやすくなります。鉄が足りなくなると、髪まで栄養が回らず抜け毛が増えることがあります。
立ちくらみや強い疲れ、爪の変化が重なるときは、貧血が隠れているかもしれません。健診の血液検査の数値も手がかりになります。
鉄分は食事だけでなく、健診での補いが役立つこともあります。気になる症状があるときは、我慢せず主治医に伝えてみましょう。
顔色の悪さや息切れも、貧血のサインとして見逃せません。
甲状腺の不調が招く抜け毛
甲状腺ホルモンの乱れも、抜け毛の原因のひとつです。妊娠中は甲状腺の働きが変わりやすく、不調が見つかることも珍しくありません。
強い疲労感や体重の急な変化、動悸などが一緒に出るときは、甲状腺の検査を相談してみましょう。早めに分かれば対応もしやすくなります。
甲状腺の不調は血液検査で確かめられます。妊娠の経過にも関わるため、気がかりなときは早めに相談しておくと安心です。
円形脱毛など他の脱毛との見分け方
髪が部分的に丸く抜ける場合は、円形脱毛の可能性があります。全体に薄くなる妊娠初期の抜け毛とは、抜け方の形が異なります。
地肌が透けるほど一気に抜ける、特定の場所だけ抜けるといったときは、自己判断せず皮膚科に相談すると安心です。
自分で見分けがつかないときは、無理に判断しようとしなくて大丈夫です。皮膚科で診てもらえば、原因に合った対応を一緒に考えてもらえます。
髪の抜け方の形や範囲は、原因を見分ける大切な手がかりになります。気づいた変化は、写真に残しておくと診察でも伝えやすくなります。
受診の目安になる抜け毛のサイン
| 気になるサイン | 考えられる背景 |
|---|---|
| 地肌が透けるほど抜ける | 貧血や甲状腺の不調など |
| 3か月以上抜け毛が続く | 一時的な範囲を超えている可能性 |
| 丸い脱毛が出てくる | 円形脱毛など別の脱毛 |
| 強い疲労や動悸を伴う | 全身の不調が隠れている場合 |
こうしたサインがそろうときは、時期の問題と片づけず、一度医療機関で確かめておくと安心できます。
妊娠初期の抜け毛に今日からできる正しい対策
毎朝の枕やお風呂で抜け毛が気になる時期も、栄養と頭皮を整える習慣で穏やかにしていけます。
特別なことは要りません。続けやすい工夫を、できる範囲から取り入れていきましょう。
バランスのよい食事と鉄分・たんぱく質
髪の材料になるたんぱく質と鉄分は、毎日の食事から少しずつ補うのが基本です。肉や魚、卵、大豆製品を主役にすると、自然と必要な栄養がそろいます。
| 栄養 | 多く含む食品 | ひとこと |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 肉・魚・卵・大豆 | 髪の土台になる |
| 鉄分 | 赤身肉・レバー・小松菜 | 不足すると抜けやすい |
| 亜鉛 | 牡蠣・ナッツ・全粒穀物 | 髪づくりを支える |
| ビタミンC | 野菜・果物 | 鉄の吸収を助ける |
つわりが重い時期は、無理にそろえなくてかまいません。食べられるものを選び、体調が戻ってから整えていけば十分です。
鉄分は、ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせると吸収が高まります。難しく考えず、いつもの食事に一品添える感覚で十分でしょう。
一度にたくさん食べられないときは、回数を分けてとる方法もあります。間食にナッツや乳製品を選ぶだけでも、髪の材料を補えます。
頭皮にやさしいヘアケアと洗い方
洗いすぎや強いブラッシングは、かえって髪を傷めます。ぬるめのお湯で、指の腹を使って頭皮をいたわるように洗うのがおすすめです。
頭皮の負担を減らすために、次のような点を意識してみましょう。
- ぬるめのお湯で洗う
- 爪を立てずに洗う
- きつく結びすぎない
- ぬれたまま放置しない
髪をきつく結ぶ髪型を続けると、生え際に負担がかかります。結ぶ位置を時々変えるだけでも、頭皮はずいぶん休まります。
シャンプーのしすぎは皮脂を奪い、頭皮を乾かせてしまいます。一日一回、やさしく洗うくらいがちょうどよいといえます。
洗い終わったら、髪はやさしく押さえるように乾かしてあげましょう。
休養とストレスとのつき合い方
睡眠と休養は、髪の生え替わりを支える土台です。短くてもよいので、横になって体をゆるめる時間を意識してとりましょう。
抜け毛を気にしすぎること自体が、ストレスになることもあります。一時的な変化だと知っておくだけで、気持ちは軽くなるものです。
気持ちが晴れないときは、ひとりで抱えず家族や友人に話してみてください。声に出すだけでも、心はいくらか軽くなります。
妊娠中に避けたい育毛成分と自己判断
市販の育毛剤や発毛成分のなかには、妊娠中は使わないほうがよいものがあります。成分によっては赤ちゃんへの影響が心配されるため、自己判断は避けましょう。
気になる商品やサプリがあるときは、使う前に主治医や薬剤師に確かめると安心です。安全がはっきりしてから取り入れれば、遠回りにはなりません。
インターネットの口コミだけで決めてしまうのは心配が残ります。信頼できる専門家に確かめてから選ぶほうが、結果として近道になるでしょう。
妊娠中・産後の抜け毛で医療機関に相談する目安
抜け毛が長く続いたり、髪以外の不調が重なったりするときは、早めに医療機関へ相談すると安心です。
多くは様子を見て大丈夫ですが、迷ったときに相談先を知っておくと心強いでしょう。
相談の目安になる抜け毛のサイン
抜け毛が3か月以上続く、地肌が透けてきた、部分的に抜けるといった場合は、一度診てもらう目安になります。時期だけで片づけないことが大切です。
強い疲れや気分の落ち込みが続くときも、我慢せず相談してかまいません。体の不調と心の負担は、つながっていることがあります。
迷ったら相談してよい、と考えておくだけで気持ちは楽になります。受診して問題がなければ、それも大きな安心につながります。
抜け毛とあわせて、肌や爪の変化、強いだるさが続くかどうかも見ておくと役立ちます。複数の不調が重なるときほど、早めの相談が安心です。
何科を受診すればよい?
髪や頭皮の状態をみてもらいたいときは、皮膚科が相談先になります。妊娠の経過や貧血が気になるときは、かかりつけの産婦人科でも相談できます。
どちらに行くか迷うときは、まず健診で顔を合わせる産婦人科で声をかけてみるとよいでしょう。必要に応じて専門の科を案内してもらえます。
受診のときは、いつ・どんなふうに抜けるかを伝えると話が早く進みます。遠慮せず、気になることはまとめて聞いてみましょう。
受診までにできる記録と準備
いつから、どのくらい抜けているのかをメモしておくと、診察での説明がなめらかになります。抜けた毛の量や髪型の変化を写真で残しておくのも役立ちます。
飲んでいる薬やサプリ、これまでの体調の変化も伝えられるよう整理しておきましょう。短い情報でも、診断の手がかりになります。
準備が整っていれば、限られた診察の時間も生かせます。メモ一枚でも、医師にとっては大切な手がかりです。
スマートフォンのメモやカレンダーに書き留めておくと、振り返りも簡単です。気になったその日に残す習慣をつけておくとよいでしょう。
よくある質問
- 妊娠初期の抜け毛はいつまで続きますか?
-
妊娠初期の抜け毛は、ホルモンの波が落ち着く妊娠中期にかけて、少しずつ和らいでいくことが多いです。多くの方は数か月のうちに気にならなくなります。
ただし3か月以上続く場合や、地肌が目立つほど抜ける場合は、別の原因が隠れていることもあります。長引くときは医療機関に相談してください。
- 妊娠初期の抜け毛はホルモン以外にも原因がありますか?
-
はい。つわりによる栄養不足や睡眠不足、心身の負担なども、妊娠初期の抜け毛に関わります。多くは複数の要素が重なって起こります。
貧血や甲状腺の不調が隠れていることもあります。髪以外の不調が一緒にあるときは、一度検査を相談すると安心です。
- 妊娠初期の抜け毛対策に鉄分や葉酸のサプリを使ってよいですか?
-
鉄分や葉酸は妊娠中に大切な栄養で、不足を補う目的でサプリを使う方も多くいます。ただし必要な量や種類は人によって異なります。
自己判断で多くとるのは避け、主治医や薬剤師に相談してから取り入れてください。健診の血液検査の結果も参考になります。
- 妊娠初期の抜け毛と産後の抜け毛は何が違いますか?
-
引き金になるホルモンの動きが異なります。妊娠初期はホルモンが急に増える途中のゆらぎ、産後は出産でホルモンが急に減ることがきっかけです。
どちらも一時的で、時間とともに整っていく点は共通しています。抜け方の時期と背景が違うと考えるとよいでしょう。
- 妊娠初期の抜け毛が気になるとき、市販の育毛剤を使っても大丈夫ですか?
-
市販の育毛剤には、妊娠中の使用がすすめられない成分が含まれることがあります。使う前に必ず主治医や薬剤師に確認してください。
抜け毛そのものは一時的なことが多いため、まずは栄養と頭皮ケアで様子をみる方法もあります。あわてて薬に頼らなくても大丈夫です。
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