牽引性脱毛症になりにくい髪の結び方!頭皮に優しいヘアアレンジ

牽引性脱毛症になりにくい髪の結び方!頭皮に優しいヘアアレンジ

「毎日ポニーテールにしているけれど、生え際が薄くなってきた気がする……」そんな不安を感じたことはありませんか。牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)は、髪を強く引っ張るヘアスタイルを長期間続けることで起こる脱毛症です。

この記事では、頭皮への負担を減らす結び方のコツや、おしゃれを楽しみながら薄毛を予防できるヘアアレンジを詳しくご紹介します。毎日の髪型を少し変えるだけで、将来の髪を守る大きな一歩になるでしょう。

正しい知識を身につけて、今日から頭皮に優しいヘアケアを始めてみませんか。

目次

牽引性脱毛症はなぜ起きる?毎日の髪型が頭皮を傷つけている

牽引性脱毛症は、髪の毛根に繰り返し引っ張る力(牽引力)が加わることで、毛包(もうほう=毛を作る組織)がダメージを受けて起こる脱毛です。

初期であれば毛包はまだ生きているため回復の可能性がありますが、放置すると瘢痕(はんこん=傷あと)が残り、永久に髪が生えなくなるケースもあります。

きついポニーテールやお団子が抜け毛を招く

ポニーテールやお団子ヘアは手軽で人気の高い髪型ですが、毎日同じ位置できつく結んでいると、生え際やこめかみ周辺に過度な負荷がかかります。特に朝の忙しい時間帯にギュッと結ぶ習慣がある方は要注意です。

実際に、ある研究ではポニーテールを週4日以上・平均10年続けた女性の約79%に前頭部の薄毛が認められたと報告されています。

牽引性脱毛症が起こりやすい頭皮の部位

薄毛が起こる場所は、髪を引っ張る方向やスタイルによって変わります。ポニーテールなら前頭部からこめかみにかけて、編み込みなら編み目に沿った部位が薄くなりやすい傾向があります。

初期には、引っ張られている部分の毛穴周囲が赤くなる「毛包炎(もうほうえん)」や、毛の根元に付着するチューブ状の鋳型(ヘアキャスト)がみられることもあります。

牽引性脱毛症の好発部位と関連する髪型

薄くなりやすい部位関連する髪型リスクの程度
前頭部・こめかみきついポニーテール高い
側頭部(耳の上)編み込み・コーンロウ高い
後頭部きつめのお団子・シニヨン中〜高い
頭頂部重いエクステンション中程度

早期に気づけば元に戻せる|初期と進行期のちがい

牽引性脱毛症は「二相性」の経過をたどるといわれています。つまり、初期は「非瘢痕性(ひはんこんせい)」で、原因となるヘアスタイルをやめれば毛髪が回復します。一方、長期間放置すると「瘢痕性(はんこんせい)」に移行し、毛包が破壊されて永久脱毛となります。

生え際が後退し始めたり、分け目が目立つようになった段階で対策をとることが、薄毛の進行を食い止めるカギとなるでしょう。

牽引性脱毛症を防ぐために今日からやめたい「NGな結び方」

牽引性脱毛症を予防する第一歩は、頭皮に過度な負担をかける髪型を避けることです。きつく引っ張るスタイルや、長時間にわたって同じ位置でまとめるスタイルは、毛根へのダメージが蓄積しやすくなります。

毎日同じ位置で結ぶのは危険

仕事や学校の都合でいつも同じ場所にポニーテールを作っている方は多いかもしれません。しかし、同じ場所に繰り返し牽引力が加わると、その部位の毛包だけが集中的に傷みます。

数日おきに結ぶ位置を変えたり、高い位置と低い位置を交互にしたりするだけでも、負荷の分散につながります。

ゴムできつく縛る「ギュッと結び」は禁物

髪を束ねるとき、崩れないようにとゴムをきつく巻きつけていませんか。細い輪ゴムタイプのヘアゴムは特に毛髪を締め付けやすく、髪が切れたり毛根を引き抜く原因になります。

結んだときに頭皮がつっぱるような感覚やヒリヒリする痛みがあれば、それは牽引力が強すぎるサインです。痛みを我慢して結んでいると、取り返しのつかない脱毛に進行するリスクがあります。

濡れた髪をそのままきつく結ぶとダメージが倍増する

お風呂上がりやプールの後、濡れたままの髪をきつくまとめるのはとても危険です。濡れた髪は乾いた状態に比べて弾力が落ちており、引っ張りに対する耐性が低くなっています。

タオルドライやドライヤーである程度乾かしてから、ゆるめにまとめるようにしましょう。

牽引性脱毛症につながりやすい行動チェック

  • 毎日同じ位置できつくポニーテールを作っている
  • 結んだ後に頭皮がつっぱる感覚や痛みがある
  • 細い輪ゴムタイプのヘアゴムを常用している
  • 濡れた状態できつく束ねることが多い
  • ヘアエクステやウィッグを長期間つけっぱなしにしている

頭皮をいたわりながらポニーテールを楽しむコツ

ポニーテールは働く女性や子育て中のお母さんにとって欠かせない髪型でしょう。「全くやめてください」と言われても困ってしまいます。大切なのは、頭皮への牽引力を最小限に抑えたポニーテールの作り方を覚えることです。

低めの位置でゆるく結ぶだけで負担が激減する

高い位置で結ぶほど前頭部や側頭部への引っ張りが強くなります。襟足に近い低い位置で、指が1本入るくらいの余裕を持たせて結ぶと、牽引力を大幅に軽減できます。

「ゆるポニー」「ローポニーテール」と呼ばれるスタイルは、おしゃれでありながら頭皮にも優しい髪型といえるでしょう。

結ぶ位置を日替わりでローテーションする

毎日同じ場所で結ぶのではなく、「今日は右寄り」「明日は左寄り」「あさっては中央の低い位置」というように、結ぶポジションを変えてみてください。同じ毛包に連続して負荷がかからなくなるため、脱毛リスクが下がります。

ポニーテールの結び方比較

結び方の工夫頭皮への負担おすすめ度
高い位置できつく結ぶ大きい
低い位置でゆるく結ぶ小さい
位置を日替わりで変える分散される
後れ毛を出してゆるめに仕上げる小さい

帰宅したらすぐに髪をほどく習慣をつけよう

仕事中はポニーテールにしていても、帰宅後はすぐに髪をほどいて頭皮を休ませましょう。結んでいる時間が短いほど、毛包が回復する余裕が生まれます。

休日は可能な限り髪を下ろして過ごすと、1週間のトータルの牽引時間を大幅に短縮できます。

牽引性脱毛症を予防するヘアゴム・ヘアアクセサリーの賢い選び方

髪を結ぶアイテムそのものを見直すだけでも、頭皮へのダメージを減らせます。ゴムの素材や太さ、ヘアクリップの形状など、ちょっとした違いが毛髪と頭皮を守るかどうかを左右するのです。

スプリングゴム(コイル型)は髪への摩擦が少ない

らせん状になったスプリングゴム(コイル型ゴム)は、髪を均等にホールドする構造で、引っ張る力が一点に集中しにくいのが特徴です。外すときに髪が絡まりにくいため、毛髪への摩擦や引っかかりによるダメージも軽減されます。

シュシュやファブリック素材のゴムが頭皮に優しい

布でゴムを覆ったシュシュは、太さがあるぶん髪を締め付ける圧力が分散されやすくなっています。シルクやサテンなど滑りの良い素材を選ぶと、髪表面のキューティクルを傷めにくく、一石二鳥です。

反対に、金属パーツが付いたゴムや、極端に細いゴムバンドは髪を局所的に強く押さえてしまうため、日常使いには避けたほうが安心でしょう。

バンスクリップやバレッタは位置と強さに注意

バンスクリップやバレッタは、ゴムで結ぶよりも髪への牽引力が少ないケースが多いヘアアクセサリーです。ただし、挟む力が強すぎるクリップを使うと、特定の毛髪が挟まれたまま引っ張られてしまいます。

大きめのクリップでふわっとまとめるのがおすすめです。

ヘアアクセサリー別の頭皮負担比較

アクセサリーの種類牽引リスク使い方のポイント
スプリングゴム(コイル型)低いゆるめに巻いて使う
シュシュ(布製ゴム)低いシルク素材だとなお良い
バンスクリップ低〜中大きめを選びふわっと留める
細い輪ゴムタイプ高い日常使いは避ける
金属パーツ付きゴム中〜高い長時間の使用に注意

髪を下ろしたまま楽しめる!牽引性脱毛症予防に適したヘアアレンジ

「結ばないと髪が邪魔になる」という方にも取り入れやすい、頭皮への負担が少ないヘアアレンジをご紹介します。髪を完全に下ろすスタイルだけでなく、ゆるくまとめるハーフアップなど、バリエーションは豊富です。

ハーフアップで牽引力を半分に抑える

上半分の髪だけをゆるくまとめるハーフアップは、ポニーテールと比べて引っ張られる髪の量が少ないため、頭皮全体への負荷を大幅に軽減できるアレンジです。後れ毛を自然に残すと、さらに牽引力が弱まりおしゃれ感も出ます。

ゆるめの三つ編みおさげは編み込みよりずっと安全

三つ編みは編み込み(コーンロウ)と比べて頭皮を直接引っ張る力が弱いため、牽引性脱毛症のリスクが低い髪型です。ただし、根元からきつく編むのではなく、毛先に向かってゆるく編むことが大切でしょう。

ダウンスタイルのアレンジ例と頭皮負担の目安

アレンジ名頭皮負担の目安特徴
ハーフアップ低い上半分だけ留めて負荷を分散
ゆるめの三つ編み低い毛先に向かって編むと安心
ヘアバンド使用のダウンスタイル低いバンドの締め付けに注意
くるりんぱ低〜中きつく引っ張りすぎなければ安全

ヘアバンドやカチューシャで顔周りをすっきり見せる

髪を結ばずに顔周りの毛束を抑えたいときは、幅広のヘアバンドやカチューシャが便利です。頭皮への牽引力がほとんど発生しないため、牽引性脱毛症の予防にもぴったりといえます。

ただし、きつく締め付けるタイプは頭痛の原因にもなるため、フィット感がちょうどよいサイズを選んでください。

寝ている間に髪を傷めない!就寝時のヘアケアで薄毛リスクを下げる

日中の髪型だけでなく、寝ている間のヘアケアも牽引性脱毛症の予防に関わっています。就寝中に髪が絡まって引っ張られたり、枕との摩擦で切れ毛が増えたりすると、知らないうちにダメージが蓄積するのです。

就寝中にきつく結ぶのは「夜間牽引」の原因になる

髪が長い方のなかには、寝るときにきつくお団子を作ったり、編み込みをしたまま眠る方がいます。しかし最近の研究では、就寝中のヘアスタイル維持(ナイトタイムトラクション)が牽引性脱毛症のリスク要因になりうると報告されています。

寝ている間はヘアスタイルが崩れても支障がないため、できるだけ髪をほどいた状態で眠るのが望ましいでしょう。

シルクやサテンの枕カバーで摩擦を減らす

コットンの枕カバーは繊維の目が粗く、寝返りのたびに髪との間で摩擦が生じやすい素材です。シルクやサテン素材の枕カバーに替えるだけで、髪のもつれや切れ毛が大幅に減少します。

シルク製のナイトキャップも同様の効果が期待できるため、ロングヘアの方にはとりわけおすすめです。

ゆるいおさげや三つ編みなら就寝中も安心

どうしても髪をまとめて寝たい場合は、毛先のほうでゆるく三つ編みにしておくと、絡まり防止と牽引力の軽減を両立できます。根元はゆるめにし、太めのシュシュやファブリックゴムで軽く留める程度にとどめましょう。

就寝時のヘアケア用品

  • シルクまたはサテン素材の枕カバー
  • シルク製のナイトキャップ
  • 太めのシュシュ(ゆるく留める用)
  • 洗い流さないトリートメント(絡まり防止)

牽引性脱毛症の初期サインを見逃さない!早めの受診で薄毛の進行を止める

牽引性脱毛症は、初期段階で気づいて対処すれば回復が見込める脱毛症です。逆に、サインを見過ごして放置すると、毛包の線維化(せんいか=組織が硬く変質すること)が進み、元に戻らなくなります。

こんな症状が出たら牽引性脱毛症の初期サインかもしれない

牽引性脱毛症の初期症状と進行時の症状

初期症状進行時の症状
結んだ後に頭皮がヒリヒリする生え際やこめかみが明らかに後退する
毛穴周辺が赤くなる・ニキビのようなブツブツが出る薄毛部分の毛穴が消失し、産毛も生えない
短い切れ毛が増える地肌がツルツルになり髪が戻らない
分け目が以前より広くなった髪の密度が著しく低下する

皮膚科・薄毛専門クリニックへの受診タイミング

生え際の後退や、結んだ後のヒリヒリが1〜2週間以上続く場合は、早めに皮膚科や薄毛専門のクリニックを受診しましょう。医師はダーモスコピー(拡大鏡を使った頭皮観察)で毛包の状態を詳しく調べ、牽引性脱毛症かどうかを判断します。

早期であれば、ヘアスタイルの変更に加えて外用薬による治療で改善が期待できます。

牽引性脱毛症と他の脱毛症とのちがいを知っておこう

円形脱毛症やびまん性脱毛症など、女性に多い他の脱毛症と牽引性脱毛症は一見似ていますが、原因も対処法も異なります。

牽引性脱毛症特有の「フリンジサイン」(脱毛部位の縁にうぶ毛が残る所見)が診断の手がかりとなるため、自己判断で済ませず医師に相談することが大切です。

よくある質問

牽引性脱毛症は髪の結び方を変えれば治りますか?

初期の段階であれば、きついヘアスタイルをやめてゆるめの結び方に切り替えることで回復が期待できます。毛包がまだ生きている非瘢痕性の段階では、牽引力を取り除くだけで数か月以内に毛髪が戻り始めるケースも少なくありません。

ただし、長期間放置して毛包が瘢痕化してしまうと、スタイルを変えるだけでは改善しにくくなります。生え際の後退や地肌の露出が気になり始めたら、できるだけ早く医師に相談されることをおすすめします。

牽引性脱毛症を予防するにはどのくらいの頻度で髪型を変えればよいですか?

明確な基準は確立されていませんが、同じきつい髪型を連続で2〜3日以上続けないことが一つの目安になります。結ぶ位置を毎日少しずつずらす、休日は髪を下ろして過ごすなど、毛包に休息を与える時間を意識して作ることが大切です。

また、編み込みやエクステンションを使ったスタイルは、装着期間を2〜3か月以内にとどめるよう推奨されています。痛みや頭皮の赤みを感じたら、期間に関わらずすぐにスタイルを緩めてください。

牽引性脱毛症は子どもでも発症しますか?

はい、子どもでも発症します。むしろ幼少期の毛包は成人よりもデリケートなため、きつい髪型を続けると大人以上にダメージを受けやすいという報告があります。

お子さまの髪を結ぶ際には、頭皮が引っ張られて痛くないか確認し、ゆるめのスタイルを心がけてあげてください。ゴムの素材にも気を配り、細い輪ゴムよりもシュシュやスプリングゴムを選ぶとよいでしょう。

牽引性脱毛症にヘアアイロンやドライヤーの熱は関係ありますか?

ヘアアイロンやドライヤーの熱そのものが牽引性脱毛症を引き起こすわけではありません。しかし、熱によるダメージで髪の毛が弱くなると、結んだときの牽引力に耐えられなくなり、切れ毛や抜け毛が増えやすくなります。

熱処理を頻繁に行う方がきついヘアスタイルを併用すると、牽引性脱毛症のリスクが高まるといわれています。熱を使うケアは控えめにし、使う場合はヒートプロテクトスプレーなどで髪を保護するとよいでしょう。

牽引性脱毛症と女性型脱毛症(FAGA)はどう見分けますか?

牽引性脱毛症は「髪を引っ張る力」が原因で、薄毛になる場所がヘアスタイルに対応した部位(生え際やこめかみなど)に限定されるのが特徴です。一方、女性型脱毛症(FAGA)はホルモンバランスの変化などにより頭頂部全体が薄くなる傾向があります。

牽引性脱毛症では脱毛部位の縁にうぶ毛が残る「フリンジサイン」がみられることが多く、医師はこの所見を手がかりにして両者を区別します。ご自身で判断が難しい場合は、皮膚科や薄毛専門のクリニックで診察を受けてください。

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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