紫外線による髪へのダメージとは?パサつきを防ぐヘアケアの基本

紫外線による髪へのダメージとは?パサつきを防ぐヘアケアの基本

紫外線は肌だけでなく、髪にも深刻なダメージを与えます。夏場に髪がパサつく、色が褪せる、手触りが悪くなる――そんな悩みの原因は、日々の紫外線にあるかもしれません。

とくに女性の場合、薄毛や抜け毛が気になりはじめると、髪の傷みがよりいっそう目立ちやすくなります。紫外線から髪を守るためのヘアケアを正しく行えば、パサつきや切れ毛を予防し、健やかな髪を保つことにつながるでしょう。

この記事では、紫外線が髪に与える影響を医学的な視点からわかりやすく解説し、日常で実践できるヘアケアの基本をお伝えします。

目次

紫外線が髪に与えるダメージは想像以上に大きい

紫外線による髪のダメージは、見た目の変化だけにとどまらず、髪の内部構造にまで及びます。毎日浴びている太陽光のなかでも、とくにUVAとUVBが髪に悪影響を与えることがわかっています。

UVBが髪のタンパク質を壊す仕組み

髪の主成分であるケラチン(硬いタンパク質)は、紫外線のなかでもUVB(波長280〜320nm)によって分解されやすい性質を持っています。UVBがケラチンに含まれるアミノ酸のトリプトファンに吸収されると、そこから活性酸素(フリーラジカル)が生まれます。

活性酸素はケラチンの構造を内部から傷つけ、髪の強度や弾力を低下させます。パーマやカラーをしていない健康な髪でも、紫外線を長時間浴びれば同じような損傷が起こるのです。

UVAが髪の色を変えてしまう理由

紫外線の種類波長髪への主な影響
UVA320〜400nmメラニン分解による退色
UVB280〜320nmケラチン破壊による強度低下
UVC100〜280nmオゾン層で大部分が吸収

日常的な紫外線量でも髪は傷んでいる

長時間の日光浴だけが問題ではありません。通勤や買い物など、日常的に浴びる紫外線でも、蓄積すると髪にダメージが生じます。とくに頭頂部は太陽光を直接受けやすく、分け目の部分は頭皮まで紫外線が届きやすいため注意が必要です。

夏場だけでなく、春先から秋口にかけて紫外線量は高い水準を保っています。曇りの日でも紫外線は雲を通過するため、天候に関係なく対策を続けることが大切です。

紫外線で髪がパサつく原因はキューティクルの損傷にある

髪のパサつきやゴワつきの正体は、キューティクル(髪表面のうろこ状の保護層)が紫外線によって傷つくことです。キューティクルが剥がれると、内部の水分や栄養が流出し、髪は乾燥してまとまりにくくなります。

キューティクルが剥がれると水分が逃げる

健康な髪のキューティクルは、何層にも重なった瓦のように整然と並び、髪内部の水分を閉じ込めています。紫外線を浴びると、この層が持ち上がったり欠けたりして、隙間から水分が蒸発しやすくなります。

結果として、髪は乾燥してパサつき、指通りが悪くなるのです。一度剥がれたキューティクルは元に戻らないため、ダメージが蓄積するほど手触りは悪化していきます。

枝毛や切れ毛が増えるのも紫外線の影響

キューティクルの損傷が進むと、髪の内部にあるコルテックス(皮質)が露出し、そこからさらにタンパク質が失われます。この状態が続くと、髪が途中で裂けて枝毛になったり、力を加えなくても切れてしまう切れ毛が増えたりします。

毛先にいくほどダメージの蓄積が大きいため、ロングヘアの方はとくに注意が必要でしょう。定期的なトリミングで傷んだ毛先を整えることも、髪全体の健康を維持するうえで有効な方法です。

髪色が褪せるのはメラニンが分解されるから

夏を過ぎると髪色が明るくなったと感じる方は多いかもしれません。紫外線のなかでもUVAは髪のメラニン色素を酸化・分解するため、もともとの髪色が褪せてしまいます。

白髪や明るい髪色の方はメラニンが少ないぶん、紫外線による色の変化がより顕著にあらわれます。カラーリングをした髪も色落ちが早まるため、ヘアカラーを長持ちさせたい方にとっても紫外線対策は欠かせません。

髪のタイプ紫外線の影響注意点
黒髪・暗い髪比較的メラニンが防御タンパク質損傷は同様に起こる
白髪・グレーヘアメラニン少なく損傷大黄ばみや乾燥がとくに目立つ
カラーリング済み色落ちが加速する退色防止のUVケアが有効

紫外線ダメージから髪を守る日焼け対策は帽子と日傘が基本

髪の紫外線対策でもっとも効果的なのは、物理的に紫外線を遮断する方法です。帽子や日傘を上手に活用すれば、髪と頭皮の両方を紫外線から守ることができます。

帽子選びで差がつく紫外線カット力

帽子を選ぶ際は、つばの広さと素材に注目してください。つばが7cm以上あるものは顔だけでなく、髪や首すじまでしっかりカバーできます。素材は目の詰まった布地が理想的で、UVカット加工が施されたものならさらに効果的です。

麦わら帽子は通気性がよい反面、編み目の隙間から紫外線が入りやすいという弱点があります。紫外線カットを重視するなら、内側にUVカットシートが貼られたタイプを選ぶとよいでしょう。

UVカットスプレーの正しい使い方

使用タイミングポイント
外出30分前髪全体にムラなく吹きかける
2〜3時間ごと汗や風で落ちるため塗り直す
帽子の下にも帽子を脱ぐ場面に備える

髪のUVケア製品を選ぶときに確認したいポイント

髪用のUVケア製品には、スプレータイプ、ミルクタイプ、オイルタイプなどがあります。スプレータイプは手軽に塗り直しができ、外出先での使用に向いています。ミルクやオイルタイプは保湿効果も兼ね備えているため、髪の乾燥が気になる方に向いているでしょう。

成分表示をチェックし、紫外線吸収剤や散乱剤がきちんと配合されているかを確認してください。敏感肌の方は、頭皮についても刺激が少ないタイプを選ぶことをおすすめします。

紫外線を浴びた後の髪のパサつきを抑えるアフターケア

紫外線を浴びてしまった後のケアも、髪の状態を左右する重要なポイントです。適切なアフターケアを行えば、ダメージの進行を食い止め、髪のうるおいを取り戻す手助けになります。

シャンプーはやさしく泡立ててから使う

紫外線でダメージを受けた髪は、表面のキューティクルが乱れて摩擦に弱い状態です。シャンプーを直接髪につけてゴシゴシこすると、さらにキューティクルが剥がれてしまいます。

まず手のひらでしっかり泡立ててから、泡で包み込むようにやさしく洗いましょう。すすぎはぬるま湯で丁寧に行い、シャンプー剤が髪や頭皮に残らないよう注意してください。

トリートメントで失われた水分を補う

洗髪後のトリートメントは、紫外線で失われたうるおいを補うために欠かせないケアです。毛先を中心に塗布し、5分ほど時間をおいてから洗い流すと、成分が浸透しやすくなります。

週に1〜2回は集中補修タイプのヘアマスクを使うのもよい方法です。ケラチンやセラミドなど、髪の補修成分が配合された製品を選ぶと、ダメージを受けた部分を効率よくケアできます。

ドライヤーの熱も髪にとっては負担になる

紫外線で傷んだ髪にドライヤーの高温を当て続けると、さらにタンパク質が変性するおそれがあります。髪から20cm以上離し、温風と冷風を交互に切り替えながら乾かしましょう。

完全に乾かす前に冷風で仕上げると、キューティクルが引き締まり、ツヤが出やすくなります。洗い流さないトリートメントやヘアオイルをドライヤー前に塗布しておくと、熱によるダメージを軽減できるでしょう。

  • アミノ酸系シャンプーで低刺激に洗う
  • ヘアマスクは週1〜2回を目安に使う
  • ドライヤーは温風・冷風を交互に使い分ける
  • 洗い流さないトリートメントで熱から保護する

薄毛が気になる女性こそ紫外線による頭皮ダメージに注意したい

紫外線のダメージは髪だけでなく、頭皮にも及びます。とくに薄毛が気になりはじめた女性にとって、頭皮へのUVダメージは毛髪の成長に悪影響を与える可能性があるため、早めの対策が大切です。

頭皮の日焼けは毛根にダメージを与える

頭皮も皮膚の一部ですから、紫外線を浴びれば日焼けを起こします。頭皮が炎症を起こすと、毛根周囲の組織がダメージを受け、毛髪の成長サイクルに乱れが生じることがあります。

とくに分け目やつむじ周辺は直接日光にさらされやすい部位です。髪が薄くなってきた方は頭皮が露出しやすいぶん、いっそう紫外線の影響を受けやすいといえます。

紫外線が毛髪サイクルを乱す可能性がある

毛髪サイクル紫外線の影響
成長期(アナゲン期)毛母細胞の増殖が抑制される可能性
退行期(カタゲン期)早期移行が促進されるおそれ
休止期(テロゲン期)休止期の延長による脱毛増加

頭皮用の日焼け止めやスプレーで守る方法

近年は頭皮専用の日焼け止めスプレーが各メーカーから発売されています。髪と頭皮の両方をカバーできるタイプが便利です。分け目に沿ってスプレーし、指先で軽くなじませてください。

頭皮に直接日焼け止めクリームを塗ると、毛穴を塞いでしまうことがあるため、スプレータイプやパウダータイプのほうが頭皮への負担が少なくなります。帰宅後はシャンプーでしっかり落とすことも忘れないでください。

食事や生活習慣で髪の紫外線ダメージを内側から予防する

外側からの紫外線対策に加えて、体の内側からも髪を守ることが大切です。髪の原料となる栄養素をしっかり摂り、生活習慣を整えることで、紫外線に負けない健やかな髪を育てましょう。

タンパク質とビタミンCで髪の土台をつくる

髪の約80〜90%はケラチンというタンパク質で構成されています。肉、魚、大豆製品、卵などから良質なタンパク質を十分に摂ることが、丈夫な髪をつくる土台になります。

ビタミンCは抗酸化作用を持ち、紫外線によって発生する活性酸素を抑える働きがあります。柑橘類やキウイ、ブロッコリーなどに豊富に含まれるため、毎日の食事に取り入れてみてください。

亜鉛と鉄分の不足が髪の弱さにつながる

亜鉛はケラチンの合成に関わるミネラルであり、不足すると髪が細くなったり、抜けやすくなったりすることがあります。牡蠣、レバー、ナッツ類などに多く含まれています。

鉄分の不足は、毛根への酸素供給を滞らせ、髪の成長に支障をきたす要因になりえます。女性は月経による鉄分損失が大きいため、赤身肉やほうれん草、小松菜を意識的に食べるようにしましょう。

睡眠と血行改善も髪の回復には大切な要素

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の修復や成長を促します。毎日できるだけ同じ時間に就寝し、6〜7時間の睡眠を確保できると理想的です。

頭皮の血行が滞ると、栄養が毛根に届きにくくなります。入浴時に頭皮マッサージを行ったり、適度な運動習慣をつけたりすることで、血流の改善を心がけてみてください。

  • タンパク質は毎食こぶし1つ分を目安に
  • ビタミンCは1日100mg以上を意識する
  • 亜鉛は成人女性で1日8mgが推奨量
  • 鉄分はとくに月経のある女性は積極的に

季節ごとに変わる紫外線量に合わせた髪のケア方法

紫外線量は季節によって大きく変動するため、一年を通じて同じケアでは十分とはいえません。季節ごとの紫外線の特徴を知り、ケアの強度を柔軟に切り替えることで、効率よく髪を守ることができます。

春から夏にかけての紫外線ピーク期に備える

紫外線量の目安推奨する対策レベル
3〜4月急激に増加帽子・UVスプレー開始
5〜8月年間で最大帽子+日傘+UVケア製品
9〜10月やや減少するが高め引き続きUVケアを継続
11〜2月低下するが油断禁物保湿ケア中心に切り替え

秋冬も保湿をベースにした紫外線ケアを続ける

秋冬は紫外線量が減るとはいえ、ゼロになるわけではありません。乾燥した空気がキューティクルをさらに傷めやすい季節でもあるため、保湿を軸としたケアが重要です。

洗い流さないトリートメントやヘアオイルを活用し、髪表面のバリア機能を補いましょう。室内にいる時間が長い場合でも、窓際で紫外線を浴びることがあるため、意識的な対策が必要です。

レジャーやアウトドア時はとくに念入りな紫外線対策を

海やプール、ハイキングなどのアウトドア活動では、通常よりも長時間紫外線にさらされます。水面や砂浜は紫外線を反射するため、上からだけでなく下からも髪にダメージが及びます。

ウォータープルーフタイプのUVスプレーを使い、こまめに塗り直すことが大切です。帰宅後は速やかにシャンプーで汚れと日焼け止め成分を落とし、集中補修トリートメントでケアしてください。

よくある質問

紫外線による髪のダメージは元に戻せますか?

残念ながら、紫外線で損傷したキューティクルやケラチンは自然に修復されることはありません。髪は死んだ細胞で構成されているため、肌のようにターンオーバーで生まれ変わることがないのです。

ただし、トリートメントやヘアマスクで一時的にコーティングし、手触りやツヤを改善することは可能です。根本的には、新しく生えてくる健康な髪を紫外線から守ることが重要になります。

紫外線で髪がダメージを受けやすい髪質はありますか?

白髪やグレーヘア、ブリーチやカラーリングをした髪は、メラニン色素が少ないぶん紫外線の影響を受けやすい傾向があります。メラニンは紫外線を吸収・分散して髪を守る天然のフィルターの役目を果たしているため、それが少ない髪はダメージが進みやすくなります。

細い髪や猫っ毛の方も、髪の断面積が小さいため紫外線が内部まで届きやすいといえるでしょう。髪質に関わらず、日頃からの紫外線対策を習慣づけることをおすすめします。

紫外線による髪のダメージと薄毛には関連がありますか?

紫外線は髪の毛そのものだけでなく、頭皮にもダメージを与えます。頭皮が慢性的に紫外線にさらされると、毛根周囲の細胞に酸化ストレスが蓄積し、毛髪の成長サイクルに影響を及ぼすことが研究で示唆されています。

薄毛が進行している部位は頭皮が露出しやすいため、紫外線の影響をより直接的に受けやすくなります。薄毛の予防という観点からも、頭皮を含めた紫外線対策を日常的に行うことが大切です。

紫外線による髪のダメージを防ぐために食事で気をつけることはありますか?

髪の主成分であるケラチンはタンパク質から合成されるため、肉・魚・大豆製品・卵などから十分なタンパク質を摂取することが基本です。加えて、活性酸素を抑える抗酸化ビタミン(ビタミンC、ビタミンE)を積極的に取り入れましょう。

亜鉛や鉄分も髪の健康に深く関わるミネラルです。偏った食生活やダイエットによる栄養不足は、紫外線に対する髪の抵抗力を弱める原因になりかねません。バランスのよい食事を心がけることが、内側からの紫外線対策につながります。

紫外線による髪のダメージを防ぐUVスプレーは毎日使っても大丈夫ですか?

髪用のUVスプレーは毎日使用しても基本的に問題ありません。肌用の日焼け止めと同様に、紫外線を浴びる可能性がある日は毎回使うことで効果を発揮します。

ただし、製品に含まれる成分によっては頭皮に合わない場合もあります。使い始めにかゆみや赤みが出た場合は使用を中止し、皮膚科を受診してください。また、夜のシャンプーで日中の汚れとUVスプレーの成分をきちんと洗い流すことが、頭皮環境を健やかに保つポイントです。

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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