紫外線が髪や頭皮に与える影響とは?薄毛や抜け毛のリスクを解説

紫外線が髪や頭皮に与える影響とは?薄毛や抜け毛のリスクを解説

「最近、分け目が広がってきた気がする」「夏になると抜け毛が増える」——そんな悩みを抱えていませんか。実は、紫外線は肌だけでなく髪や頭皮にも深刻なダメージを与え、薄毛や抜け毛を加速させる要因になり得ます。

この記事では、紫外線がどのように髪の毛や頭皮を傷つけるのか、そして女性の薄毛リスクとの関係について、医学的な知見をもとにわかりやすく解説します。日々のケアに取り入れていただける対策もご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

紫外線が髪の毛を傷つける仕組みは思っている以上に深刻だった

紫外線は髪の表面だけでなく内部構造にまで到達し、タンパク質の分解や色素の酸化を引き起こします。見た目の変化だけでなく、髪そのものの強度が低下してしまう深刻な問題です。

UVAとUVBでは髪へのダメージの種類が違う

太陽光に含まれる紫外線は、波長の違いによってUVAとUVBに分けられます。UVAは波長が長く、髪の内部にある髄質(ずいしつ)と呼ばれるいちばん奥の層にまで届くとされています。

一方、UVBは波長が短いものの、髪の表面を覆うキューティクルや皮質(コルテックス)に強く作用し、タンパク質の損失を引き起こします。

つまり、UVAは髪の色を変化させ、UVBは髪の強度を落とすという、それぞれ異なる経路でダメージを与えているのです。どちらか一方だけを防いでも十分とはいえません。

紫外線が活性酸素を生み出し髪のケラチンを壊す

紫外線が髪に吸収されると、髪を構成するアミノ酸(特にトリプトファンやシスチン)が光化学反応を起こし、フリーラジカル(活性酸素)が発生します。

フリーラジカルとは、周囲の分子を攻撃する不安定な物質のことで、これが髪の主成分であるケラチンタンパク質を傷つけます。

紫外線の種類到達する髪の層主なダメージ
UVA(320〜400nm)髄質まで深く到達色の変化・褪色
UVB(290〜320nm)キューティクル・皮質タンパク質の損失

髪の「ジスルフィド結合」が切れるとパサつきや枝毛が起こる

髪のしなやかさや強度を保っているのは、ジスルフィド結合と呼ばれる化学的な結びつきです。紫外線はこの結合を切断し、その結果、髪はパサつき、枝毛や切れ毛が発生しやすくなります。

特にカラーリングやパーマを繰り返している髪は、もともとこの結合が弱っているため、紫外線の影響をより受けやすいでしょう。

頭皮が紫外線を浴び続けると炎症や光老化が進む

頭皮は体のなかでもっとも太陽に近い位置にあるにもかかわらず、紫外線対策が見落とされがちな部位です。紫外線による頭皮の慢性的な炎症は、毛包(もうほう=髪を作る器官)の環境を悪化させ、抜け毛につながります。

頭頂部の頭皮は紫外線を真上から受けている

分け目や頭頂部は、太陽光を直角に近い角度で受け止めます。髪が薄くなりかけている部分ほど、頭皮への紫外線到達量は増加するため、薄毛が進むほど紫外線ダメージも蓄積しやすいという悪循環が生まれます。

紫外線で頭皮のコラーゲンが分解されると毛包がやせ細る

紫外線は真皮層のコラーゲンやエラスチンを分解する酵素(MMP:マトリックスメタロプロテアーゼ)の産生を促します。コラーゲンは毛包を支える「土台」のような存在であり、この土台が劣化すると毛包が縮小し、生えてくる髪は細く弱々しくなっていきます。

頭皮の日焼けは「急性びまん性脱毛」を引き起こすことがある

強い紫外線を浴びた後に、通常よりも多くの髪が一斉に休止期(テロゲン期)に入ることがあります。これは「急性テロゲン脱毛」と呼ばれ、紫外線による炎症反応がきっかけとなって起こるものです。

海やプールで長時間過ごした数か月後に抜け毛が増えたと感じる女性は少なくありません。

頭皮ダメージ原因となる紫外線起こりうる症状
急性炎症(日焼け)主にUVB赤み・痛み・フケ
慢性光老化主にUVA毛包の萎縮・薄毛
酸化ストレス蓄積UVA + UVB抜け毛増加・白髪

紫外線による酸化ストレスが女性の薄毛・抜け毛を加速させる

酸化ストレスとは、体内で発生した活性酸素の量が抗酸化能力を上回った状態を指します。紫外線はこの酸化ストレスの大きな原因のひとつであり、毛包細胞の機能低下を通じて女性の薄毛に深く関わっています。

毛乳頭細胞が酸化ダメージを受けると髪の成長が止まる

毛乳頭細胞(もうにゅうとうさいぼう)は、髪の成長に必要な栄養やシグナルを供給する司令塔のような存在です。

紫外線によって細胞内の活性酸素が増えると、毛乳頭細胞は早期に老化し、髪の成長を促す成長因子の分泌が減少します。その結果、髪の成長期が短くなり、十分に成長しないまま抜け落ちてしまいます。

毛包幹細胞が紫外線で減少すると髪が再生しにくくなる

毛包幹細胞は、新しい髪を作るために欠かせない「種」のような細胞です。動物実験では、UVA照射によって毛包幹細胞の数が減少し、毛包の縮小(ミニチュア化)や白髪の増加が確認されています。

人間の頭皮でも同様の変化が起きていると考えられており、紫外線対策は幹細胞を守るためにも大切です。

  • 活性酸素が毛乳頭細胞のDNAにダメージを与え、早期老化を引き起こす
  • 毛包幹細胞の減少により、新しい毛髪の再生能力が低下する
  • メラノサイト幹細胞も影響を受けるため、白髪も増加しやすくなる

女性ホルモンの変動期には紫外線ダメージがさらに大きくなる

女性は加齢や出産、更年期などでホルモンバランスが大きく変動します。エストロゲン(女性ホルモン)には抗酸化作用があるとされており、その分泌が減少する時期には、紫外線による酸化ストレスへの抵抗力も低下しやすくなるでしょう。

こうしたタイミングで紫外線を多く浴びると、薄毛の進行が加速するリスクが高まります。

メラニン色素が少ない髪ほど紫外線に弱いと知っていますか

メラニンは髪の天然の紫外線フィルターであり、その量が少ない髪ほど紫外線のダメージを直接受けやすくなります。白髪や明るい色の髪の女性は、特に注意が必要です。

メラニンは紫外線を吸収して髪内部を守る「天然のバリア」

髪に含まれるメラニン色素は、紫外線のエネルギーを吸収して熱として放散する働きを持っています。

さらに、フリーラジカルの一部を中和し、ジスルフィド結合の切断を抑制する効果も報告されています。黒い髪ほどメラニンが多く含まれているため、結果として紫外線に対する防御力が高いといえます。

白髪や明るい髪色の方は紫外線で髪が傷みやすい

白髪にはメラニンがほとんど含まれていません。そのため、紫外線がそのまま髪内部に侵入し、タンパク質の分解や脂質の酸化が起こりやすくなります。

染毛していない白髪が増えてきた方は、帽子や日傘などの物理的な遮光がとりわけ大切になってきます。

髪の色メラニン量紫外線への耐性
黒髪多い高い
茶髪やや少ない中程度
白髪ほぼゼロ低い

髪の密度が減ると頭皮への紫外線到達量も増える

髪の毛そのものが頭皮を紫外線から守る「天然の日傘」として機能しています。研究では、髪の密度・太さ・メラニン含有量が多いほど、頭皮に届く紫外線の量が減ることが確認されています。

薄毛が進行している方は、頭皮への紫外線暴露量も自然と増えるため、意識的な対策が求められます。

春夏だけじゃない!紫外線から髪と頭皮を守る実践的なケア方法

紫外線は夏のイメージが強いかもしれませんが、春先の3月頃から急激に増え始め、秋口まで高い水準が続きます。年間を通じた対策が、髪と頭皮の健康を守る鍵になります。

帽子・日傘は紫外線対策のなかでもっとも確実な方法

物理的に紫外線を遮る帽子や日傘は、頭皮と髪を同時に守れる手段です。UVカット加工が施された素材を選ぶことで効果はさらに高まります。

つばの広い帽子であれば、分け目や生え際の露出も軽減できるため、薄毛が気になる方には特におすすめです。

頭皮用の日焼け止めスプレーを使う習慣をつけよう

最近では、頭皮や髪に直接使えるスプレータイプの日焼け止めが増えてきました。朝のスタイリング時にひと吹きする習慣をつけるだけで、日中の紫外線ダメージを大幅に軽減できるでしょう。外出先での塗り直しも手軽にできる点がメリットです。

  • つばの広い帽子やUVカット日傘を日常的に使う
  • 頭皮用スプレー日焼け止めを朝のスタイリングに組み込む
  • 分け目を定期的に変え、同じ場所に紫外線が集中するのを防ぐ

抗酸化成分を含むヘアケア製品で内側からもガードする

ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分を配合したシャンプーやトリートメントは、紫外線で発生したフリーラジカルを中和する手助けをしてくれます。

あくまでも補助的な対策ではありますが、物理的な遮光と組み合わせることで、トータルでの防御力を高められるでしょう。

紫外線ダメージが蓄積した頭皮と髪のSOSサインを見逃さない

紫外線による影響は、急に目に見える形で現れるわけではありません。しかし、日々少しずつ蓄積したダメージは、ある日突然「薄毛」や「パサつき」として表面化します。早い段階でサインに気づくことが、手遅れを防ぐ第一歩です。

分け目やつむじ周辺の頭皮が赤くなっていませんか

鏡で分け目やつむじの頭皮をチェックしてみてください。うっすらと赤みがある場合、紫外線による慢性的な炎症が起きている可能性があります。炎症が続くと毛包の周辺に炎症性サイトカイン(炎症を促す物質)が集まり、毛包の健康を脅かします。

夏の終わりから秋にかけて抜け毛が増えたら紫外線が原因かもしれない

夏場の紫外線ダメージは、2〜3か月の遅れをもって抜け毛として現れることがあります。9月から11月頃に「いつもより抜け毛が多い」と感じたら、夏の間に受けた紫外線の影響を疑ってみてもよいかもしれません。

髪のツヤが失われ手触りがごわつくのは内部ダメージのサイン

紫外線はキューティクルの表面に微細な穴を開け、内部の水分や脂質を流出させます。その結果、髪はツヤを失い、乾燥してごわついた手触りになります。こうした変化は、すでに髪の内部構造が損傷を受けている証拠です。

サイン考えられる原因対処の目安
頭皮の赤み慢性的な紫外線炎症皮膚科を受診
秋の抜け毛増加夏の紫外線蓄積頭皮ケアの見直し
髪のパサつき・ツヤ消失キューティクル損傷保湿ケアの強化
分け目の広がり毛包の萎縮進行専門医への相談

紫外線と女性の薄毛についてお医者さんに相談すべきタイミング

セルフケアだけでは改善が見込めないほど薄毛が進行している場合や、頭皮の炎症が長引いている場合には、早めに皮膚科や薄毛専門のクリニックを受診することをおすすめします。

分け目がどんどん広がる・地肌が透けて見える場合は受診を

紫外線だけが薄毛の原因とは限りません。女性の薄毛には、FAGA(女性男性型脱毛症)やびまん性脱毛症などさまざまなタイプがあり、原因の特定には医師による診断が必要です。紫外線対策を行っても改善が見られない場合は、ほかの原因が隠れていないか調べてもらいましょう。

受診の目安具体的な症状
早めの受診を推奨分け目の拡大、頭頂部の地肌透け
できるだけ早く受診頭皮の持続的な赤み・かゆみ
緊急性が高い円形の脱毛斑・急激な抜け毛

医師に伝えるべき「紫外線暴露歴」のポイント

受診の際には、日常的にどれくらい紫外線を浴びているか、屋外での仕事やレジャーの頻度、帽子や日傘の使用状況などを医師に伝えてください。こうした情報は、治療方針を決めるうえで参考になります。

治療と並行して紫外線対策を続けることが髪を守る基本

たとえ治療を開始したとしても、紫外線対策をおろそかにしてしまえば、せっかくの治療効果が減ってしまうかもしれません。治療はあくまでも「攻め」のケアであり、紫外線対策は「守り」のケアです。両輪をそろえてこそ、薄毛の進行を効果的に抑えられます。

よくある質問

紫外線は髪の毛にどのようなダメージを与えますか?

紫外線は、髪を構成するケラチンタンパク質のアミノ酸に吸収され、フリーラジカル(活性酸素)を発生させます。このフリーラジカルがケラチンを構成するジスルフィド結合を切断し、髪の強度やしなやかさを低下させます。

また、UVBは主にタンパク質の損失を引き起こし、UVAは髪の色を変化させる傾向があります。その結果、パサつきや枝毛、褪色といったトラブルにつながります。

紫外線が原因で抜け毛が増えることはありますか?

はい、紫外線が原因で抜け毛が増える可能性はあります。強い紫外線を頭皮に浴びると炎症反応が起き、多くの毛包が一斉にテロゲン期(休止期)に移行する「急性テロゲン脱毛」が発生することがあります。

この脱毛は紫外線を浴びてから2〜3か月後に現れることが多く、夏の終わりから秋にかけて抜け毛が増えたと感じる方は、夏の間に蓄積した紫外線ダメージが原因かもしれません。

紫外線から頭皮と髪を守るために日常でできる対策は何ですか?

もっとも効果的な方法は、つばの広い帽子やUVカット加工の日傘を使い、紫外線を物理的に遮ることです。分け目や頭頂部は紫外線が直接当たりやすいため、分け目を定期的に変えることも有効な方法といえます。

加えて、頭皮や髪に使えるスプレータイプの日焼け止めを朝のスタイリング時に取り入れると、外出中の紫外線ダメージを軽減できます。抗酸化成分を含んだシャンプーやトリートメントとの併用も効果的です。

白髪が多い場合、紫外線による髪のダメージは大きくなりますか?

白髪はメラニン色素がほとんど含まれていないため、紫外線に対する防御力が低下した状態にあります。メラニンは紫外線を吸収しフリーラジカルを中和する「天然のバリア」として機能しているため、白髪が増えるとそのバリアが失われます。

白髪が目立つ方は、帽子や日傘といった物理的な遮光を習慣にするとともに、紫外線対策成分が配合されたヘアケア製品を活用することをおすすめします。

紫外線による薄毛が心配な場合、病院を受診したほうがよいですか?

分け目の広がりや頭頂部の地肌透けが気になる場合、あるいは紫外線対策を行っても抜け毛が改善しない場合は、皮膚科や薄毛専門のクリニックを受診することをおすすめします。

薄毛には紫外線以外にもホルモンバランスや遺伝などさまざまな要因が関係しており、原因を正しく特定することが治療の第一歩です。

受診の際には、日常的にどの程度紫外線を浴びているか、帽子や日傘の使用頻度なども医師に伝えてください。治療と紫外線対策の両立が、髪を守るうえで大切になります。

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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