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基礎・原因紫外線対策
Dr. 大木沙織

こんにちは、皮膚科医の大木沙織です。

お顔のシミやシワを防ぐために日焼け止めを塗る方は多いですが、頭皮のUVケアはどうでしょうか?

実は、太陽に一番近い頭頂部は、顔の約3倍もの紫外線を浴びていると言われています。このダメージは「光老化」として細胞に蓄積し、薄毛や白髪を加速させる最大の要因になります。

頭皮も顔と同じ一枚の皮膚です。帽子や日傘、スプレーなどを上手に使って紫外線から守ってあげれば、髪の寿命は確実に延ばせます。季節を問わず実践すべき、頭皮の日焼け対策について解説します。

紫外線は肌だけでなく、髪と頭皮にも深刻なダメージを与えます。UVBは髪のタンパク質を分解してパサつきや切れ毛を招き、UVAは頭皮の奥にまで届いて毛根の働きを弱めるため、放置すれば薄毛リスクが高まります。

頭頂部は顔の約3倍もの紫外線を浴びるといわれており、分け目やつむじは特に無防備な状態です。それにもかかわらず、顔や腕に比べて頭皮のUV対策を習慣にしている方はまだ多くありません。

この記事では、紫外線が髪と頭皮に与える影響を医学的な知見をもとに整理し、日焼け後の応急ケアから毎日の予防策まで具体的に解説します。正しい知識を身につけ、今日からできる対策を始めましょう。

執筆・監修医師

大木皮ふ科クリニック 副院長 大木 沙織

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

紫外線が髪と頭皮を同時に攻撃する仕組み

地表に届く紫外線にはUVAとUVBの2種類があり、それぞれ髪と頭皮への作用が異なります。両方のダメージが重なることで、見た目の変化だけでなく薄毛にまでつながるおそれがあるでしょう。

種類波長と届く深さ主なダメージ
UVA315〜400nm・真皮まで到達光老化・毛母細胞への悪影響
UVB280〜315nm・表皮に吸収日焼け・髪のタンパク質分解

UVAが頭皮の深部に届いて毛根を疲弊させる

UVAは波長が長く、髪を通り抜けて頭皮の真皮層にまで到達します。真皮に存在するコラーゲンやエラスチンが酸化的ストレスを受けると、頭皮の弾力が低下し、毛根を支える土台そのものがもろくなっていきます。

さらにUVAは毛球部の毛母細胞にも影響を及ぼし、髪の成長サイクルを乱すことが報告されています。曇りの日でも地表に届く量はほとんど変わらないため、晴天でなくても油断は禁物です。

紫外線による光老化と薄毛の関係を詳しく知りたい方へ
頭皮の光老化が招く薄毛のリスクと対策

UVBが髪のケラチンを壊してパサつきを生む

UVBは表皮やキューティクルに強く吸収され、髪の主成分であるケラチンタンパク質を直接分解します。この影響で髪内部の水分が流出し、パサつき・枝毛・切れ毛が増えるのです。

ケラチンの分解にはアミノ酸のシスチン結合の切断がかかわっており、一度壊れた結合は自然に修復されません。つまり、紫外線で傷んだ髪は新しく生え替わるまでダメージが残り続けます。

紫外線で髪に起こる変化はパサつきだけではない

見た目のパサつきは紫外線ダメージのほんの入り口にすぎません。色の退色、ツヤの喪失、そして内部構造の劣化まで、紫外線は髪に多面的な影響を及ぼします。

メラニンが分解されて髪色が褪せる

紫外線は髪内部のメラニン色素を酸化・分解し、赤茶けた退色を引き起こします。カラーリングをしている方は色持ちが悪くなり、染め直しの頻度が上がることで頭皮への化学的負担まで増えてしまうかもしれません。

メラニンは本来、紫外線を吸収して髪を守る「天然のUVフィルター」として機能しています。しかし過剰な紫外線を受けるとメラニン自体が破壊され、防御力が低下するという悪循環に陥ります。

紫外線による髪のダメージケアについてまとめました
紫外線を浴びた髪のダメージ修復ケア

脂質の酸化がキューティクルの剥離を加速する

髪の表面を覆う脂質成分も紫外線の標的になります。脂質が過酸化すると、キューティクル同士の接着が弱まり、うろこ状のキューティクルが浮き上がって剥がれやすくなるのです。

キューティクルが開いた状態の髪はコルテックス(髪の芯)が外気にさらされ、乾燥・摩擦のダメージを受けやすくなります。指通りの悪さや絡まりが増えたと感じたら、紫外線による構造劣化を疑ってみてください。

紫外線の影響髪に起こる変化
タンパク質分解パサつき・枝毛・切れ毛
メラニン酸化色あせ・赤茶けた退色
脂質の過酸化キューティクル剥離・ツヤ喪失

頭皮への紫外線ダメージが女性の薄毛を加速させる

頭頂部は身体のなかで最も太陽に近い部位であり、分け目やつむじでは地肌がむき出しのまま紫外線を浴び続けます。頭皮の炎症と乾燥が重なると、毛根の生育環境は急速に悪化します。

赤み・フケ・かゆみは頭皮SOSのサイン

強い紫外線を浴びた頭皮はやけどと同じ状態になり、赤み・ヒリつき・皮むけが生じます。バリア機能が低下した頭皮は水分を保てず乾燥が進み、ターンオーバーが乱れてフケやかゆみが出やすくなるでしょう。

炎症が毛穴の奥にまで波及すると、毛根の細胞分裂が妨げられ、成長途中の髪が抜け落ちるリスクが高まります。頭皮のほてりや違和感を放置しないことが、薄毛予防の第一歩です。

頭皮の日焼けで生じるフケや痛みへの対処法をチェック
日焼けによる頭皮のフケ・痛みケア

なぜ「毎日少しずつ」の紫外線でも薄毛につながるのか?

紫外線ダメージは一度に大量に浴びた場合だけでなく、毎日の少量の蓄積によっても進行します。慢性的な酸化ストレスは活性酸素を過剰に生み出し、毛母細胞のDNAを傷つけるためです。

その結果、成長期が短くなり退行期・休止期が早まることで、髪が十分に太く長く育たないまま抜けてしまいます。紫外線と女性の薄毛には、こうした「じわじわ進む」つながりが潜んでいるのです。

  • 分け目の地肌が以前より透けて見える
  • 夏を過ぎると抜け毛が急に増える
  • 頭頂部のボリュームが減ったように感じる

紫外線による髪・頭皮ダメージと薄毛の関係

頭皮を日焼けしてしまったときの正しいアフターケア

万が一頭皮を日焼けしてしまった場合、最初の数時間のケアがその後の回復を大きく左右します。冷却と保湿をすみやかに行い、炎症の拡大を食い止めましょう。

冷やす・うるおす・刺激しないの3原則

まず水で冷やしたタオルを頭皮に当て、ほてりが落ち着くまで優しく冷却します。保冷剤を直接当てると凍傷のリスクがあるため、必ず布で包んでから使ってください。ほてりが引いたら、頭皮用のローションやワセリンで保湿し、バリア機能の回復を助けます。

炎症が続いている間はシャンプーの洗浄力にも注意が必要です。硫酸系の洗浄剤は避け、アミノ酸系など低刺激なものを選びましょう。ぬるま湯だけで軽くすすぐのも有効です。

タイミングやること注意点
直後冷水タオルで冷却氷を直接当てない
冷却後頭皮用ローションで保湿アルコール入りを避ける
当日夜低刺激シャンプーで洗髪爪を立てず指の腹で洗う

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頭皮の日焼けによる皮むけ・赤みの治し方

やってはいけないNG行動

日焼け直後にドライヤーの熱風を当てると、炎症が悪化して痛みが長引きます。自然乾燥を基本とし、どうしても乾かしたい場合は冷風モードで頭皮から離して使いましょう。

皮がむけ始めても無理に剥がしてはいけません。新しい皮膚がまだ完成していない段階で表面を剥がすと、感染症や色素沈着の原因になります。自然に剥がれるのを待つことが回復への近道です。

毎日の紫外線対策で髪と頭皮を守る具体策

紫外線対策は「浴びてからのケア」より「浴びないための予防」のほうがはるかに効果的です。帽子・日傘・日焼け止めスプレーなど、日常に取り入れやすいアイテムを組み合わせて防御力を高めましょう。

帽子・日傘・分け目チェンジで物理的にブロック

UVカット率99%以上の帽子やつばの広い日傘は、頭皮への紫外線を大幅にカットできます。帽子は黒や紺などの暗い色ほど紫外線を通しにくいですが、通気性が悪いと蒸れて頭皮環境が悪化するため、メッシュ素材の裏地を選ぶとよいでしょう。

同じ分け目を続けていると、そこだけ紫外線ダメージが集中して地肌が赤くなりやすくなります。2〜3日ごとに分け目の位置をずらす習慣は、頭皮への紫外線負荷を分散させる手軽な方法です。

対策アイテムUVカット効果
UVカット帽子(暗色・つば広)頭頂部を約99%防御
日傘(UVカット加工)帽子と併用でほぼ完全防御
分け目チェンジ局所的な蓄積ダメージを分散

紫外線から頭皮を守り抜け毛を予防する方法について詳しくまとめました
UV対策で始める頭皮ケアと抜け毛予防

頭皮用UVスプレーを正しく使いこなすコツ

頭皮用の日焼け止めスプレーは、外出前に分け目やつむじを中心に15〜20cm離して吹きかけます。クリームタイプと違い毛穴を塞ぎにくく、髪がべたつきにくいスプレータイプが頭皮には向いています。

効果は2〜3時間で薄れていくため、長時間の外出時はこまめに塗り直してください。帰宅後はその日のうちにシャンプーで洗い流し、スプレーの成分が毛穴に残らないようにすることが大切です。SPF50+・PA++++のものを選べば、日常使いからレジャーまで幅広く対応できるでしょう。

  • 外出30分前に分け目・つむじに集中スプレー
  • 2〜3時間おきに塗り直す
  • 帰宅後はその日のうちにしっかり洗い流す

頭皮に使える日焼け止めスプレーの選び方をチェック
頭皮用日焼け止めスプレーの選び方ガイド

よくある質問

紫外線による髪のダメージは元に戻せますか?

紫外線で分解されたケラチンタンパク質やシスチン結合は、髪の内部で自己修復することができません。トリートメントで表面を一時的にコーティングして手触りを改善することはできますが、根本的な修復にはなりません。

傷んだ部分は新しく生えてくる髪に置き換わるのを待つ形になります。そのため、ダメージを受ける前の予防が何より大切です。帽子や日焼け止めスプレーで紫外線をブロックし、傷みを最小限に食い止めましょう。

紫外線が多い季節は夏だけですか?

紫外線は夏だけでなく、春先の3月頃から急激に増加し、5〜8月にピークを迎えます。冬場でもゼロにはならず、特にUVAは季節による変動が比較的小さいため、年間を通じた対策が望ましいといえます。

曇りの日でも晴天時の約60〜80%の紫外線が地表に届いているとされています。天気が悪いからと対策をやめてしまうと、知らず知らずのうちにダメージが蓄積してしまうでしょう。

頭皮の日焼け止めスプレーは毛穴を詰まらせませんか?

頭皮用に設計されたスプレータイプの日焼け止めは、粒子が細かくべたつきにくい処方になっており、適切に使えば毛穴詰まりの心配は少ないです。ただし、帰宅後にシャンプーでしっかり洗い流すことが前提になります。

洗い残しがあると皮脂や汗と混ざって毛穴に残り、炎症を招くおそれがあります。顔や体用のクリームタイプを頭皮に流用するのは避け、髪と頭皮専用のスプレーを選ぶようにしてください。

紫外線で白髪が増えることはありますか?

紫外線の長期的な曝露により、メラノサイト(色素細胞)が酸化ダメージを受け、メラニン色素の産生能力が低下する可能性が指摘されています。メラニンを作れなくなった毛根からは白い髪が生えてくるため、紫外線が白髪の一因となり得ます。

白髪のおもな原因は加齢や遺伝ですが、紫外線による酸化ストレスがそれを加速させることがあります。頭皮の紫外線対策は、薄毛予防だけでなく白髪の進行を遅らせるうえでも意味があるといえるでしょう。

紫外線対策として食事で気をつけるべきことはありますか?

ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどの抗酸化成分を含む食品は、紫外線で発生した活性酸素を中和して細胞へのダメージを軽減する働きがあります。ブロッコリー、パプリカ、アーモンド、にんじんなどを日常の食事に取り入れるとよいでしょう。

髪の材料となるタンパク質や、ケラチン合成に関わる亜鉛も意識して摂りたい栄養素です。外側からの紫外線対策と内側からの栄養補給を組み合わせることで、髪と頭皮をより効果的に守ることができます。

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