更年期に薄毛になりやすい人の特徴は?抜け毛を防ぐ正しい対策法

更年期に薄毛になりやすい人の特徴は?抜け毛を防ぐ正しい対策法

「最近、分け目が目立つようになった」「シャンプー後の排水口に抜け毛が増えた」——そんな変化に気づいて不安を感じている方は少なくありません。更年期の薄毛は、女性ホルモンの減少だけでなく、遺伝的な体質や栄養状態、ストレスなど複数の要因が絡み合って起こります。

この記事では、更年期に薄毛になりやすい人に共通する特徴と、医学的根拠にもとづいた正しい抜け毛対策を詳しくお伝えします。早めに原因を把握し、適切なケアを始めることで、髪のボリュームを守ることは十分に可能です。

ご自身に当てはまる項目がないかチェックしながら、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

目次

更年期に薄毛になりやすい人には体質と遺伝に共通点がある

更年期に薄毛が進行しやすいかどうかは、生まれ持った体質や家族歴に大きく左右されます。すべての女性が更年期に髪の悩みを抱えるわけではなく、特定の体質的特徴を持つ方にリスクが集中する傾向があります。

家族に薄毛の人がいると更年期の脱毛リスクは高まる

女性型脱毛症(FPHL)には遺伝的な素因が深く関わっています。母親や祖母に薄毛の方がいる場合、毛包がホルモン変動の影響を受けやすい体質を受け継いでいるかもしれません。

遺伝的な要素は変えられませんが、早い段階でリスクを認識しておけば予防的なケアに取り組めます。

閉経が早い女性ほど髪のボリュームが減りやすい

閉経の時期が早いと、エストロゲンの保護作用を失う期間が長くなります。エストロゲンは髪の成長期(アナジェン期)を延長し、毛髪の太さや密度を維持する働きがあります。

40代前半やそれ以前に閉経を迎えた方は、同年代の女性と比較して髪のボリューム減少が早く進むことが報告されています。婦人科での定期検診を通じてご自身のホルモン状態を把握しておくと安心です。

更年期に薄毛になりやすい人の体質的特徴

特徴薄毛リスクとの関連
家族に薄毛の女性がいる遺伝的に毛包がホルモン変動の影響を受けやすい
閉経が平均より早いエストロゲンの保護期間が短縮される
BMIが25以上アンドロゲン代謝が変化し脱毛が進みやすい
甲状腺機能に異常がある毛周期の乱れにつながりやすい

BMIが高めの人は更年期に頭頂部が薄くなりやすい

閉経後の女性を対象にした研究では、BMIが25以上の方は女性型脱毛症の発症リスクが有意に高いことが示されています。脂肪組織はアンドロゲンの代謝に関与しており、過剰な脂肪は頭皮の毛包に悪影響を及ぼす可能性があります。

適正体重を維持することは、髪の健康を守るうえでも意味のある取り組みといえるでしょう。

女性ホルモン「エストロゲン」が減ると髪はどう変わるのか?

更年期に入ると卵巣からのエストロゲン分泌が急激に低下し、毛髪の成長サイクルに大きな影響が生じます。髪のハリやコシが失われるだけでなく、1本1本が細くなり、全体のボリュームが目に見えて減少することもあります。

エストロゲンは髪の成長期を長く保つ守り神

エストロゲンは、毛母細胞の分裂を促進し、毛髪が成長し続けるアナジェン期(成長期)を延長する作用を持ちます。妊娠中に髪が増えたと感じる女性が多いのは、エストロゲン濃度が高い状態が維持されるためです。

更年期にエストロゲンが減少すると、毛髪の成長期が短縮され、休止期(テロジェン期)に移行する毛包が増えます。その結果、髪が十分に伸びきる前に抜け落ちてしまうのです。

男性ホルモン優位になると毛包の萎縮が進む

エストロゲンが減少すると、体内ではアンドロゲン(男性ホルモン)の影響が相対的に強まります。テストステロンが5α還元酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されると、頭頂部の毛包が萎縮し、太い毛が細く短い毛へと置き換わっていきます。

これが「毛包のミニチュア化」と呼ばれる現象で、女性型脱毛症の中心的な変化です。すべての女性に高アンドロゲン血症がみられるわけではなく、毛包の感受性の個人差も大きく関わっています。

休止期脱毛が更年期に起きやすい理由

更年期には、ホルモン変動に加えて精神的ストレスや睡眠障害、体調の変化が重なりやすくなります。こうした複合的な負荷が毛髪の成長サイクルを乱し、通常よりも多くの毛包が一斉に休止期へ移行するのがテロジェンエフルビウム(休止期脱毛)です。

テロジェンエフルビウムは一過性であることが多いものの、原因が解消されないまま慢性化するケースもあります。抜け毛が急に増えたと感じたら、早めの対処が回復への近道です。

ホルモン変動が毛髪に与える影響

ホルモンの変化毛髪への影響
エストロゲン低下成長期の短縮、毛髪密度の減少
アンドロゲン優位毛包のミニチュア化、毛径の細小化
プロゲステロン減少DHT生成抑制力の低下

更年期の抜け毛を加速させる食生活と栄養の偏り

更年期の薄毛は、ホルモン変動だけでなく栄養状態にも左右されます。毛髪はケラチンというタンパク質で構成されており、その合成には鉄・亜鉛・ビタミンDなど複数の栄養素が必要です。食事からの供給が不足すると、髪の成長が滞りやすくなります。

鉄分不足は更年期の抜け毛を悪化させる大きな原因

鉄は赤血球のヘモグロビン生成に関わり、毛母細胞へ酸素を届ける役割を担います。閉経前の月経による鉄の喪失がなくなっても、食事からの摂取量が十分でなければ鉄不足は続きます。

血清フェリチン値が低い女性ではテロジェンエフルビウムや女性型脱毛症の発症率が高いとする報告があり、鉄の補充により改善が見込めるケースも少なくありません。

ビタミンDと亜鉛が不足すると髪の成長サイクルが乱れる

ビタミンDは毛包の分化と成長に関与し、不足すると毛周期の正常な移行が妨げられます。亜鉛も毛母細胞の分裂に欠かせないミネラルで、不足すると毛髪がもろくなり、脱毛のリスクが高まります。

日光を浴びる機会が少ない方や、加工食品中心の食生活を送っている方は特に注意が必要です。

髪の健康に関わる栄養素と豊富に含まれる食品

栄養素主な食品例髪への働き
鉄分レバー、赤身肉、小松菜毛母細胞への酸素供給
亜鉛牡蠣、牛肉、ナッツ類ケラチン合成の補助
ビタミンD鮭、きのこ類、卵毛包の分化促進
タンパク質鶏むね肉、大豆、魚毛髪の原料となるケラチン生成

過度なダイエットが更年期の薄毛を招く

急激な体重減少や極端な食事制限は、毛髪の成長に必要なエネルギーと栄養素を奪います。カロリー不足の状態が続くと、身体は生命維持に必要な臓器を優先し、髪への栄養供給を後回しにするためです。

更年期は基礎代謝が低下しやすく、体型を気にして食事を減らす方もいます。しかし、過度な制限はかえって薄毛を悪化させるため、バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

頭皮環境を整えることが更年期の薄毛対策で差をつける

毛髪は頭皮という「土壌」から育つため、頭皮環境を良好に保つことが更年期の抜け毛予防に直結します。日々のケア習慣を少し見直すだけでも、毛髪のコンディションに変化が現れることは珍しくありません。

正しいシャンプー選びで頭皮の血行を促す

洗浄力が強すぎるシャンプーは頭皮の皮脂を過剰に落とし、乾燥やかゆみを引き起こします。更年期にはエストロゲンの減少により頭皮が乾燥しやすくなるため、アミノ酸系などの穏やかな洗浄成分を選ぶのが望ましいでしょう。

シャンプー時に指の腹でやさしく頭皮を動かすようにすると、血行促進にもつながります。爪を立てて強くこする洗い方は頭皮を傷つけるため避けてください。

頭皮マッサージで更年期の薄毛をケアする方法

頭皮マッサージは、毛細血管の血流を改善し、毛母細胞への栄養供給をサポートします。入浴中や入浴後のリラックスした状態で、側頭部から頭頂部にかけてゆっくりと圧をかけながら揉みほぐすと効果的です。

毎日3〜5分程度の習慣でも継続することで頭皮の柔軟性が高まります。力を入れすぎず、気持ちよいと感じる程度の圧で行いましょう。

紫外線から頭皮を守ることも抜け毛予防になる

紫外線は頭皮にダメージを与え、毛包の炎症や活性酸素の増加を招きます。特に分け目や頭頂部は紫外線を直接受けやすい部位です。

外出時には帽子や日傘を活用し、頭皮用のUVスプレーを併用するのもよい方法です。紫外線対策は夏場だけでなく年間を通じて意識しましょう。

更年期の頭皮ケアで取り入れたい習慣

  • アミノ酸系シャンプーで頭皮をやさしく洗う
  • 入浴時に3〜5分の頭皮マッサージを行う
  • 帽子や日傘で紫外線から頭皮を保護する
  • 頭皮の保湿ケアを日常に取り入れる

更年期の抜け毛とストレスは切っても切れない関係にある

更年期はホットフラッシュや不眠、気分の落ち込みなど心身にさまざまな不調が現れる時期です。こうしたストレス要因が重なることで、毛髪の成長サイクルが大きく乱れるリスクが高まります。

慢性的なストレスが毛周期を乱す

ストレスを受けると副腎皮質からコルチゾールが分泌され、毛包周囲の炎症反応を引き起こします。持続的なストレスは成長期の毛包を退行期へ早期に移行させることが研究で示されています。

精神的負荷が大きい時期に抜け毛が増えるという実感を持つ方は多いでしょう。ストレス管理も毛髪ケアの一環です。

睡眠不足は更年期の抜け毛を加速させる

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、毛母細胞の修復と増殖が活発に行われます。更年期はのぼせや寝汗などの影響で睡眠の質が低下しやすく、毛髪のターンオーバーが滞る要因になります。

寝室の温度を適切に調整し、就寝前のカフェインやスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠環境を整える工夫が効果的です。

ストレスと抜け毛の悪循環を防ぐ工夫

対策期待できる効果
深呼吸や瞑想を習慣にするコルチゾール分泌を抑制し毛包への炎症を軽減
7時間以上の睡眠を確保する成長ホルモンの分泌を促し毛母細胞を修復
ウォーキングなど軽い有酸素運動血行促進とストレス発散の両方に有効

自律神経の乱れが頭皮の血流低下を招く

更年期にはエストロゲンの急減により自律神経のバランスが崩れやすくなります。交感神経が優位な状態が続くと末梢血管が収縮し、頭皮への血液供給が減少します。

入浴やストレッチ、趣味の時間など、副交感神経を優位にする活動を意識的に取り入れることで、頭皮の血行改善が見込めるでしょう。

更年期の薄毛は早めの受診で進行を食い止められる

「たかが抜け毛」と放置してしまうと、毛包のミニチュア化が進行し、回復に時間がかかるケースがあります。気になる変化を感じたら、できるだけ早く専門医に相談することが、将来の髪を守る第一歩です。

更年期の薄毛で受診すべきタイミング

分け目の幅が広がった、頭頂部の地肌が透けて見えるようになった、シャンプー時の抜け毛が明らかに増えた——こうした変化が2〜3か月以上続く場合は、専門医への相談をお勧めします。

急激な脱毛や円形の脱毛斑が見られる場合は、別の疾患の可能性もあるため、早急な受診が望ましいでしょう。

皮膚科や婦人科で受けられる検査内容

薄毛の原因を特定するために、血液検査(甲状腺ホルモン、フェリチン、エストラジオール、テストステロンなど)やダーモスコピー(拡大鏡による頭皮観察)が実施されることがあります。

皮膚科では脱毛のタイプを診断し、婦人科ではホルモンバランスの評価を行います。両科を連携して受診することで、より正確な診断と適切な治療方針にたどり着けます。

医師と相談して選ぶ更年期の薄毛治療

女性型脱毛症に対しては、外用薬のミノキシジルが一般的に用いられています。医師の判断のもと、内服薬や低出力レーザー治療などが選択肢に入ることもあります。

治療の効果には個人差があり、数か月から半年程度の継続が必要になります。治療中も食事やストレス管理といった生活面のケアを併せて行うと、相乗効果が期待できるでしょう。

受診先を選ぶ際のポイント

  • 女性の薄毛治療に実績のある皮膚科・婦人科を選ぶ
  • 血液検査やダーモスコピーなどの検査体制が整っている医療機関を選ぶ
  • 治療の選択肢やリスクについて丁寧に説明してくれる医師に相談する

二度と薄毛に悩みたくない!更年期以降の髪を守る生活習慣

医療機関での治療と並行して、日々の生活習慣を整えることが更年期以降の髪を守る土台になります。食事・運動・睡眠の3本柱を意識した暮らしが、毛髪の健康維持に直結します。

バランスのよい食事が髪の土台をつくる

タンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンDなど、毛髪の成長に必要な栄養素をまんべんなく摂ることが基本です。大豆製品に含まれるイソフラボンはエストロゲンに似た構造を持ち、更年期の女性にとって有用な食品といえます。

1日3食を規則正しく摂り、極端な偏食を避けることが何より大切です。

更年期以降に髪を守るための食事の工夫

食事のポイント具体的な取り組み
タンパク質の確保毎食、肉・魚・卵・大豆のいずれかを1品加える
鉄分の補給赤身肉やほうれん草をビタミンCと一緒に摂る
亜鉛の摂取牡蠣やナッツ類を意識的に食卓に並べる
ビタミンDの補充鮭やきのこ類を積極的に取り入れ、日光浴も行う

適度な運動と質のよい睡眠が毛髪に好影響を与える

ウォーキングやヨガなどの有酸素運動は全身の血行を促し、頭皮への栄養供給を高めます。また、運動にはストレス軽減効果もあり、抜け毛の悪循環を断つ助けになるでしょう。

睡眠については、就寝時間と起床時間を一定に保ち、7時間程度の睡眠を確保することが理想的です。寝具や寝室環境の見直しも、質の高い睡眠を得るための有効な手段です。

更年期を前向きに過ごすためのセルフケア習慣

薄毛の悩みは外見だけでなく、自己肯定感や社会生活にも影響を与えることがあります。髪の変化を過度に恐れず、「今できるケアを一つずつ取り入れる」という前向きな姿勢が大切です。

信頼できる医師に相談し、同じ悩みを持つ仲間と情報を共有することも精神的な支えになります。更年期は人生の通過点であり、適切なケアで髪の状態を維持・改善できる可能性は十分にあります。

よくある質問

更年期の薄毛は女性ホルモンの減少だけが原因なのでしょうか?

更年期の薄毛は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な引き金ですが、それだけが原因ではありません。遺伝的な体質、栄養不足、ストレス、睡眠の質、甲状腺機能の異常など、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。

そのため、ホルモン変動への対処だけでなく、食生活の改善や頭皮ケア、ストレス管理など総合的なアプローチが大切です。気になる症状がある場合は、医師に原因の特定と治療計画を相談されることをお勧めします。

更年期の抜け毛は自然に治ることがありますか?

テロジェンエフルビウム(休止期脱毛)のように、ストレスや体調不良が一時的な引き金となった抜け毛であれば、原因が解消されたあと数か月で自然に回復するケースがあります。

一方、女性型脱毛症(FPHL)は進行性の脱毛で、自然治癒は難しいとされています。放置すると毛包のミニチュア化が進んでしまうため、早い段階で医師に相談し、適切なケアや治療を開始することが回復への近道です。

更年期の薄毛に効果が期待できる食べ物にはどのようなものがありますか?

髪の主成分であるケラチンの合成には、タンパク質(鶏むね肉・魚・大豆製品)、鉄分(レバー・赤身肉・小松菜)、亜鉛(牡蠣・ナッツ類)、ビタミンD(鮭・きのこ類・卵)が重要です。

大豆製品に含まれるイソフラボンはエストロゲンに似た作用を持つため、更年期の女性にとって積極的に取り入れたい食品です。特定の食品だけに頼らず、多品目をバランスよく摂取することが、髪の健康を支える土台になります。

更年期の薄毛で病院を受診する場合は何科に行けばよいですか?

まず皮膚科を受診されるとよいでしょう。皮膚科ではダーモスコピーによる頭皮観察や、脱毛タイプの診断が可能です。加えて婦人科ではホルモンバランスの評価が受けられます。

両科を連携して受診することで、薄毛の原因をより正確に把握できます。女性の薄毛に詳しい専門外来を設けている医療機関もありますので、事前にホームページなどで確認してから受診されることをお勧めします。

更年期の抜け毛と加齢による薄毛はどのように見分けられますか?

更年期の抜け毛は、閉経前後の比較的短い期間にホルモン変動をきっかけとして急速に進行する傾向があります。分け目の拡大や頭頂部の毛髪密度低下が特徴的で、前頭部の生え際は保たれることが多いです。

一方、加齢による薄毛はより緩やかに進行し、毛髪が全体的に細く短くなっていきます。両者が重なって起こることも珍しくないため、皮膚科の専門医による診察を受けることが確実な判別方法です。

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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